データセンターコラム Vol.3

2016年03月01日

ビットアイル・エクイニクス社の鎌田氏によるコラム第2号です。
是非ご覧いただけましたら幸いです。

隣の会社のハイブリッドクラウド事情!!

ハイブリッドクラウドの定義

ハイブリッドクラウドの話に入る前にハイブリッドクラウドについて定義させてください。 こちらの図のような組み合わせをハイブリッドクラウドと定義します。

 

1.パブリッククラウドとプライベートクラウドの組み合わせ形態

 2.クラウドサービスとオンプレミス環境(コロケーション環境)の組み合わせ形態

 3.複数のクラウドサービスを組み合わせて利用する形態
 

 厳密には、一番上の形態のみがハイブリッドクラウドとするのが一般的なのですが、2番目、3番目について

 も派生形としてハイブリットクラウドとして、ここでは定義します。

サービスの組み合わせ利用傾向

こちらは、ビットアイル・エクイニクスで、コロケーション環境とクラウドサービスの併用を行っているお客様の比率のグラフになります。

(2015年7月時点の情報) (2015年7月時点の情報)

 2013年10月、2年前は、コロケーションとクラウドを併用してご利用いただいているお客様は、2割程度でしたが、2015年7月のデータを見ると29.5%に増えております。
これは、コロケーションを中心に利用していたお客様がクラウドへ一部移行していると考える見方と、逆にクラウドサービスだけでは要件を満たせないお客様がコロケーション環境と組み合わせて利用している比率が増えていると考えられます。 このようにコロケーションとクラウド環境をハイブリッドで利用する傾向は増えており、この傾向はまだまだ伸びることが予想されます。




 では、なぜ、ハイブリッドクラウド化が進んでいるかというと、クラウド利用だけでは対応できない場面があるからだと考えられます。
こちらは、クラウド利用だけで直面する問題の例になります。

 1.構成が制限されて要件が満たせない
 2.パフォーマンス出ない/安定しない
 3.思ったほど運用が楽でない
 4.意外とコストが高い
 5.ロックインの懸念

 この中でよく話に聞くのが上から2番目と4番目のパフォーマンスの問題とコストの問題です。 クラウドなので、スケールアップやスケールアウトを行いやすいのですが、インスタンスの性能を上げたり、サーバ台数を増やしたりしていくと想定していたよりも高くついてしまうということがあるようです。 また、意外とコストが高いという意見の中には、データ転送量やストレージへのトランザクションなど、想定しにくい要因などから意外とコストが高くついているという例もあるようです。
 それから、利用しているクラウドサービスの独自機能や独自サービスで、その仕様に合わせてシステムを組んでしまうことで、ロックインされることに対して心配をしていたお客様もおりました。 しかし、これについては必要な機能やサービスを割り切って利用することで得られるメリットも大きいので、ケースバイケースで考える必要があります。 このようにクラウドだけでは解決できない問題をクリアするために、適材適所なシステム構成の考え方としてハイブリッドクラウドという概念が出てきたのだと考えます。
 では、ハイブリッドクラウドのメリットは具体的にどこにあるのでしょうか。

ハイブリッドクラウドのメリット

ハイブリッドクラウドは、以下の4つのメリットが挙げられます。

●セキュリティ

パブリッククラウドでありながら、ネットワーク経路をオンプレミス環境からダイレクトに接続できるサービスを組み合わせて利用したり、重要なデータはオンプレミス側に置きながら、利便性の高いパブリッククラウドサービスを利用できるようにすることが可能です。

●コストコントロール

ハイブリッドクラウドにすることで、パブリッククラウドの良さである必要な時に必要な分だけのコストをかける形のものと、オンプレミス環境の良さである資産の有効活用を併用して利用することが可能になります。

●パフォーマンス

ハイブリッドクラウドにすることで、クラウド環境とオンプレミス環境を見比べながら、最適なシステムを構築することができます。
クラウド環境であれば、スケールアウトやスケールアップが短期で行えるメリットがあり、オンプレミス環境であればサーバやストレージなど最新機種を導入することでハイパフォーマンスを得られる構成をとることが可能です。

●ソフトウェアライセンス

すでに保有しているソフトウェアライセンスは、ライセンスのルール上、パブリッククラウドへ移行が出来ない場合があります。
今はだいぶ減ってきているかと思いますが、NICのMACアドレスを登録しないと使えないものやUSBのドングルが必要なものなど、パブリッククラウド環境では利用できないものでも、オンプレミス環境と組み合わせて利用することができる点もハイブリッドクラウド環境のメリットです。

 このようなメリットがあることを踏まえたうえで、ハイブリッドクラウドの事例を紹介させていただきます。

ハイブリッドクラウドの事例

 理学機器を全国的に展開する総合商社のお客様の事例を紹介いたします。
日本全国に数十か所の営業拠点と独自の配送センターを有しており、Webサイト上で製品カタログや受発注が行えるシステムを構築し、展開している企業になります。

 ハイブリッドクラウドを選んだ背景は、東日本大震災の時にBCP(事業継続計画)の一環として、社内で稼働させていた基幹システムとお客様向けのサービス用システムを安全な場所で快適に稼働させることができる環境へ移管することを検討した結果でした。

 社内のサーバルームで運用していた基幹システムをデータセンターへ移設し、事業継続が行える安全な環境と、エンドユーザ様向けのサービス用のシステムは、クラウドサービスの利便性による運用面での工数削減を実現いたしました。

 このお客様がBCPの強化ポイントとして挙げている課題は3つありました。

災害時や障害時でも安全で駆けつけやすい環境

社内のサーバルームで運用したサーバの一部は、そのまま、データセンターへ移行することを検討していたので、災害時や障害時に駆けつけやすい環境である必要がありました。

停電の影響を受けない安定した電源供給

東日本大震災の時に輪番停電の経験で苦労したので、安定した電源供給も必要です。

レスポンスよく稼働する快適なシステム環境

このお客様は、当初、他社のクラウド検討していたのですが、そのクラウド環境で思うようにシステムがパフォーマンスを発揮せず、苦労しておりました。 特にDBサーバの遅延がひどく、実際にシステムを利用するユーザと実証実験も行ったのですが、とても本番で利用できる環境ではありませんでした。 ですので、利用ユーザが快適に利用できるシステムにすることも大きな課題でした。

 元々、お客様環境はお客様のオフィスの一角にサーバルームを構築し、そこで必要なサーバの運用を行っておりました。また、基幹DBサーバ、基幹APサーバ、 グループウェアなどのサーバを本社と各営業所をVPNで接続して利用しておりました。 その大半のサーバをデータセンター内のコロケーション環境とクラウド環境へ移設したのが、下の図の構成になります。

 課題解決のポイントとしては、
「災害時や障害時に駆けつけやすい環境」という点については、お客様のオフィスと都心型データセンターとして展開しているビットアイル・エクイニクスのデータセンターは物理的な距離が非常に近く、まさに「駆けつける」のが可能な場所にありました。
 「安定した電源供給」についてもデータセンターですので、万が一、電力会社からの供給がストップした場合でも、数日間は発電設備を用いて電気を供給することが可能です。
 そして、「レスポンスよく稼働する快適なシステム環境」としてパフォーマンスに懸念があった基幹DBサーバについては、コロケーション環境へ持ち込み、安全で安定した運用ができる環境を構築しました。
 ファイルサーバ以外のその他のサーバ(基幹APサーバーやグループウェアなど)は、ビットアイル・エクイニクスのクラウドサービスである「Vシリーズ」を組み合わせることで運用の利便性とコストの圧縮をすることができました。
それから、エンドユーザ様向けのサービス用システムが稼働しているWebシステムサーバについては、基幹DBとの連携も必要でしたので、物理環境とクラウド環境をプライベート接続し、ハイブリットクラウドとして運用しております。
もうすでに2年以上、運用しておりますが、大きな障害もなく、レスポンスのよい、安定したシステムになっております。

 ハイブリットクラウド構成にすることで、課題解決のほかに得られたメリットもありました。 24時間、365日のシステムの稼働監視をデータセンターに委託することで、運用負荷の軽減につながっております。
また、導入前には、データセンターを見学していただき、電源設備や空調、火災消火設備などをご確認していただくことで、災害時のリスクに対して安心感を得ていただきました。
 このように監視・運用などをアウトソーシングすることで、運用効率が上がり、攻めるべきところへの業務リソースの集中も行えるようになりました。
 今後は、経理精算フローや人事システムなどの社内システムのハイブリッドクラウド環境への移行や、不正接続防止などのセキュリティ強化をご検討していただいております。
事例の紹介は以上になります。
 

お客様のニーズに対応するためのポイント

ハイブリッドクラウドには、お客様のニーズに対応するための3つのポイントがあります。
 Point1 多様な選択肢
 Point2 セキュアかつ高速なダイレクト接続
 Point3 ハイブリッドクラウド構築・運用のトータルサポート

これからのポイントについて説明させていただきます。

 多彩な選択しとして、コロケーション環境以外に、パブリッククラウド、プライベートクラウド、コロケーション環境とお客様の要件に応じることができるサービスを用意しております。
 クラウドの利便性を重視する場合は、パブリッククラウドのNシリーズがおすすめです。 国産クラウドであるニフティクラウドからOEM提供されたNシリーズでは、ニフティクラウドと同様のコントロールパネルやAPIが利用でき、かつ、物理環境と組み合わせてご利用しやすい特徴があります。 それから、プライベートクラウドサービスのVシリーズは、VMwareの仮想環境をそのままご利用していただくことができますので、他のお客様の影響を受けない、専用のサーバリソースをご利用いただくことができます。 他社から隔離された物理的な占有環境を構築することができますので、情報システム部が抱える業務用アプリケーションの稼働環境として最適であります。
 そして、お客様の要件に応じて自由な構成が組みやすいコロケーション環境を組み合わせることでクラウドだけでは満たせない要件に対応できるようになります。
このように要件に応じたシステム構成を取りやすいのがビットアイル・エクイニクスのサービスになります。

各種クラウドサービスの活用ポイントとしては、
パブリッククラウドなら、
  ・スタートアップ
  ・スケーラビリティ
  ・オンデマンド
  ・短期利用
  ・従量課金
  ・運用アウトソース
プライベートクラウドなら、
  ・ITリソースの効率的な利用
  ・固定費用化による単位コストダウン
  ・デリバリーのスピードアップ
  ・セキュリティ要件への対応
  ・独自システム要件への対応
クラウド化しないもの・クラウド化出来ないもの
  ・厳密なセキュリティ統制
  ・ハイパフォーマンス要求
  ・クラウド未対応アプリケーション
  ・ライフサイクル
 これらのポイントを考慮しながら、最適な環境でサーバを構築・運用し、各サービスを連携してご利用いただけるようにしております。

 そして、これらのサーバリソースをセキュア、かつ、高速なダイレクト接続を可能にするのがビットアイルコネクトというサービスです。
 

 このサービスを利用することで、ビットアイル・エクイニクス内の物理環境やクラウド環境に対してインターネットを介さずにシームレスに接続することができ、かつ、他社クラウドの環境へもダイレクト接続が可能なので、ビットアイル以外の環境ともハイブリッドクラウドを構築しやすくなります。

最適なハイブリッドクラウドを実現するため、ディーアイエスソリューションとビットアイル・エクイニクスの総合力で、アセスメント、要件定義、設計、開発、構築、運用・保守など、すべてのフェーズ、すべてのサイト(ロケーション)で一貫してサポートいたします。

まとめ

 今回のコラムではハイブリッドクラウドについて以下のことがお伝えしたかったことになります。
  ・システムの特性に合わせた最適化
  ・要件と運用コストの見きわめ
  ・ハイブリッドクラウドはゴールではない

 今回、ご紹介させていただいた事例のように、パブリッククラウド、プライベートクラウド、物理環境を適切に使い分けながら、「システムの特性に合わせた最適化」でのシステム設計は、重要な考え方の一つです。 特に「要件と運用コストの見きわめ」については、設計をシンプルにするためにパブリッククラウドだけで完結しようとすると、システム規模が小さいうちは開発コスト、運用コストを抑えることができますが、システム規模が大きくなったり、要件が複雑になったりしてくると、パブリッククラウドのサービスメニューだけで対応するには、難しくなります。 ですので、ハイブリッドクラウドで対応した方が無理のない対応ができる可能性が高まります。

 そして、私が一番お伝えしたいこととしては、「ハイブリッドクラウドはゴールではない」ということです。
多くのお客様がDSolとビットアイル・エクイニクスのサービスを組み合わせてハイブリッドクラウドを構築・運用をしております。 ただ、これは、最適な配置を可能にする柔軟なネットワーク環境とサービスメニューの組み合わせを、お客様と検討しながら進めてきた結果に他なりません。 私からお伝えしたいことは、「ハイブリッドクラウドが素晴らしいとか、ハイブリッドクラウドにすべきです」と言いたいわけではありません。
 結局のところ、新規でシステムを構築するにあたって、パフォーマンスと運用(利便性)を考えると、まずは、今だと、要件が許すなら、パブリッククラウドから考えてみるというもよいと思います。 ただ、セキュリティ要件や法令・ガイドライン、そしてコストを考慮すると、パブリッククラウドサービスだけでは実現できない場合や、コストを非常にかけないと実現できない場合もあります。 そのような時は、パブリッククラウドだけにとらわれず、プライベートクラウドや物理環境での構築や運用も組み合わせたハイブリッドクラウドをご検討ください。
 また、環境が分かれたとしても、その環境をつなぐネットワークがセキュアで低レイテンシーを実現していれば、1つのシステムとして稼働させることができる可能性が高まります。 このようなポイントを押さえながら、多くのお客様へハイブリッドクラウド環境をサービスの組み合わせで、ご提供してきました。
 今後もお客様のニーズに即したサービスを開発していき、ビジネスに貢献できるように、「お客様の夢をかなえるパートナーになる」ことを目標に努めてまいります。



<筆者>

ビットアイル・エクイニクス株式会社
マーケティング本部プロダクトマーケティング部
主任 鎌田 健太郎氏

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